天体物理学におけるスパゲッティ化現象 (スパゲッティかげんしょう、spaghettification)、もしくはヌードル効果(ヌードルこうか、noodle effect)とは、非常に強く不均一な重力場によって、物体が垂直方向への引き延ばしおよび水平方向の圧縮を受け、スパゲッティのように細長い形状になる現象。これは極端な潮汐力によって引き起こされる。ブラックホールが最も顕著な例で、付近の引き延ばしは非常に強力であり、どれほど強力な構造を持つ物体であってもこれに耐えることは不可能である。狭い範囲内では、水平方向の圧縮が垂直方向の引き延ばしとの均衡を保つために "スパゲッティ化した" 小さな物体の体積は変化しない。
スティーブン・ホーキング博士は、ブラックホールの事象の地平面を通過する際の架空の宇宙飛行士の様子について「頭からつま先までの重力勾配 (掛かる重力の強さの違い) により ”スパゲッティのように引き延ばされる”」と表現する。この現象は特異点から発し人間の体の一端に掛かる重力が、もう一端に掛かるものよりも非常に大きくなることが原因である。例えば人間がブラックホールに足から落ちると仮定すると、垂直方向に引き延ばされるためにその足にかかる重力は頭の方に掛かる重力よりもはるかに大きくなる。さらに水平方向には圧縮を受けるため、体の右半分は左に、左半分は右に引っ張られる。
簡略な例
惑星上空に、4つの物体がダイヤモンド型に並んでいるとする。この4物体は重力電場 (gravitoelectric field (英語版)) のラインに沿って天体の中心に向かって動く。逆2乗の法則により、4物体のうち最も高度の低いものが最大の重力加速度を持つため、全体の構造が一直線に収束するように伸びる。
ここで、この4物体がより大きな物体の一部であると考えると、剛体はひずみに抵抗し、潮汐力のバランスをとるために全体を捩り内部弾性を発生させて機械的均衡を得る。このとき潮汐力が大きすぎる場合には、全体が降伏し塑性流動して潮汐力の均衡を得るか、破壊されて、フィラメントあるいは破片の垂直線を形成する。
潮汐力の強弱
点質量または球形質量による重力場では、重力方向に配向した均一なロッドの場合…