実話怪談
「コンビニにいつもいる店員」
近所のコンビニに、いつ行ってもいる店員さんがいた。早朝、深夜、夕方、いつもいる。表情がなく、無愛想な若い男性だった。
近所の別の会社でバイトした折、その店員と同じ苗字の先輩がいた。雑談の中、先輩はそのいつもいるコンビニ店員の姉であると発覚した。
「いつもいますよね」
先輩は深刻そうに語り始めた。
「弟はコンビニで一日18時間バイトしている。昔、あの店で普通にバイトをしていて、万引きしてしまった。それがオーナー夫妻にバレた。オーナー夫妻は警察に突き出す代わりに、新しい銀行口座と銀行印を提出することを求めてきた。そして、そのまま雇い続けてくれた。その恩があり、弟はオーナー夫妻に心酔して365日働いている。祖父の葬式すら休めなかった。休みがないばかりか、笑顔も消えてしまい、家でも疲れ果てて会話がない」
先輩は苦しそうに語った。
「労基とか税務署にチクってください。多分、そのオーナー夫妻は脱税とかしてます」鴨は言った。
数年後、コンビニは潰れた。
実話怪談終わり