男女問わず、アイドル界隈の「~くん」「~ちゃん」呼びに対しては、局外者ながらモヤモヤを感じる。アイドル声優分野にもそれは及んでいる。ただし、当事者の意識としてはパーソナルな親しみを持つことの表明だろうから、それを「大人/子供」の二分法に回収するのはあんまり適切ではないように思う。
むしろ、習い事や芸道関係で「生徒さん」と呼ぶことの方が、個人的にどうにも受け入れにくく感じる。「さん」という敬称を付けてはいるものの、そこには絶対的な上下関係の存在を見出してしまう。例えばミニチュアハウスの展示会などでも、「○○塾の生徒さんの作品」というような表現が用いられているが、それは作者を自立した個人として扱わず、インティメットに囲い込まれた権力関係を作品の前に貼り付けられたような感覚があって、私はどうも苦手だ。いや、「素人はあくまで素人」「指導を受けてようやく成立したにすぎない作品」というのは確かなんだけど。
(※ちなみに、隣接分野のプラモデル界隈では、剥き出しの指導関係(上下関係)を前景化することは稀なのだが、そちらはそちらで水平的な内輪ノリが時折感じられて、そちらも苦手。というわけで、私自身はずっと孤独のモデラーであり続けてきた。)
同様に、宝塚出演者の「生徒」扱いも、うーん、よく分からない。そうなっている事情は、ひとまず通り一遍の説明で理解してはいるのだが、組織に紐づけられた従属性の表現を堂々と使い続けていることに、当惑せざるを得ない。