ケモナーは、日本のサブカルチャー領域における、擬人化された動物キャラクターを愛好する人々を表す言葉である。また、前述したような動物キャラクターをケモノと呼ぶ。「ケモノ」「ケモナー」という言葉は1990年代後半の漫画同人文化から発祥したものであり、一説によれば2000年代に発売されたPlayStation 2用ゲームである『.hack//G.U.』作中で取り上げられたことがきっかけで普及した。ファン同士の交流は同人即売会を中心とする限定的なものから始まったが、インターネットの普及とともにイラストサイトやSNSなどにファンコミュニティが広がり、2013年現在では少なくとも数千人の人口がいるとされている。
定義
サブカルチャーの文脈においては、動物の擬人化表現として、耳や尻尾などの一部分のみが動物であるキャラクターが作られることも多いが、このようなキャラクターが「ケモノ」と見なされることは少なく、反対に、実際の動物に近い体型のキャラクターは愛好の対象となることが多い。「ケモノ」の判断基準としては顔のマズル(鼻口部)の有無や、体表の動物らしさなどが挙げられることが多く、研究者の猪口智広はこのことを「ヒトとの断絶」がケモノ/非ケモノを分かつ重要な要素として認識されているためだと解釈している。猪口はまた、ケモナーがキャラクターが人格を持っているかどうかについては問題とするものの、人格内部における理性・野性の多寡についてはほとんど問題としないことに触れた上で、ケモノを「ヒトでない存在でありながら、人間と相互理解できる可能性を持った存在として描き出された動物」であると定義している。
定義に関する論争
獣耳のキャラクターを愛好する人々のことを「ケモナー」と呼ぶ例は散見されるものの、こうした用法は論議を呼ぶことがある。これは、「ケモナー」を自認するものが基本的に、獣耳の愛好者と自分たちが同一視されることをよく思わないためである。
2015年には獣耳キャラクターを扱ったスマートフォン向けゲームアプリ『けものフレンズ』を「ケモナー向け」と紹介し、「ケモナーの自覚はなかったが、自分もどうやらケモナーであるようだ」という内容の一文を載せた個人ブログが炎上し、ブログ運営者が謝罪文を掲載する事態となった。猪口は自らがケモナーであること…