発光ダイオード(はっこうダイオード、英語: light-emitting diode: LED)とは、ダイオードの1種で、順方向に電圧を加えた際に発光する半導体素子である。発光原理にはエレクトロルミネセンス (EL) 効果を利用している。また、有機エレクトロルミネッセンス(OLEDs、有機EL)も分類上は、LEDに含まれる。
1962年にニック・ホロニアックによって発明された。発明当時は、赤外線LEDと赤色LEDのみだった。1972年にジョージ・クラフォードによって黄緑色LEDが発明された。1986年には、赤﨑勇と天野浩により、青色LEDの発光結晶の窒化ガリウムが世界で初めて制作され、続いて1989年には青色LEDが発明された。この発明を利用し、豊田合成と日亜化学工業の2社が青色LEDの工業化を目指した。1993年には、NTT物性科学基礎研究所の松岡隆志によって開発された発光物質の窒化インジウムガリウムを使用した実用的な高輝度青LEDが日亜化学工業により製品化された。この発明によって中村修二が2014年に赤﨑勇、天野浩とともにノーベル物理学賞を受賞した。
原理
発光ダイオードは、半導体を用いたpn接合と呼ばれる構造で作られている。発光はこの中で電子の持つエネルギーを直接、光に変換する方法で行われ、巨視的には熱や運動の介在を必要としない。電極から半導体に注入された電子と正孔は異なったエネルギー帯(伝導帯と価電子帯)を流れ、pn接合部付近にて禁制帯を越えて再結合する。再結合時に、バンドギャップ(禁制帯幅)にほぼ相当するエネルギーが光として放出される。放出される光の波長は材料のバンドギャップによって決まる。基本的には、エネルギーが多いと波長の短い光が出る。これにより赤外線領域から可視光線領域、紫外線領域まで様々な発光を得られるが、基本的に単一波長の光のみを放出する。ただし人間の視覚に合わせて、青色、赤色、緑色(光の三原色)の発光ダイオードを組み合わせて用いれば、人間にとって区別できるあらゆる色(フルカラー)を表現できる。また、青色または紫外線を発する発光ダイオードの表面に蛍光塗料を塗布する方法で、高エネルギーの青色の光を蛍光塗料に吸収させて、蛍光塗料からエネルギーの低い他の色の蛍光を放出させて、適切に色の変換を行い、白色や電球色などといった様々な中間色の発光ダイオードも製造されている。
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