江戸時代、袖の長い振袖は、子供や未婚の女性が着るもの。江戸時代初期、女性が積極的に恋愛感情を表に出すことが恥とされていた頃、踊り子たちは言い寄ってくる男性からの愛をOKしたり、NOと拒否したりする手段として、袖を振って返事をしていた。OKなら袖を左右に振り、NOなら袖を前後に振る。それを見ていた一般の未婚女性たちが真似をして、いつしか袖を振る行為が求愛のサインへと変わった。意中の相手に袖を振り、相手が袖を振り返してくれたらOKのサインになった。そして女性は結婚すると着物の袖は短くした。つまり結婚してしまうと、どんなに素敵な男性から言い寄られても、良い返事をしたくても、ない袖は振ることができない。そこから「ない袖は振れない」という言葉が生まれた。振袖は、飛鳥時代にはその原型ができていた。江戸時代には今に近い振袖になり、明治時代以降には未婚女性の第一正装となる。現代でも使われる、恋愛にまつわる「振った」「振られた」という言葉は、この振袖を振ることに由来してる。
You can’t get blood out of stone...