焼き鳥(やきとり)は、鶏肉を一口大に切ったものを串に刺して直火焼き(串焼き)したもの。
本項では日本料理としての焼き鳥について記す。鶏肉以外の副材料を使ったり、鶏以外の肉の串焼きを「焼き鳥」と称することもある(「#鶏以外の肉・野菜など」参照)。
概要
鍋や甕または鉄板などの調理器具を使用しなくても調理が可能なあぶり焼きという方法は、山野で得た獲物を食べるには都合の良い方法であり、古来行われている。しかし、丸焼きでは調理に時間が掛かると共に、その大きさや骨のために食べにくい。このため、現代の料理店では、肉を小さく切って串(たいていは竹材)に刺す方法が多くとられている。
焼き鳥は、「焼き鳥屋」という専門の料理店で供されることも多い。このような専門店では、雀などの小鳥を切らずに串焼きにした元々の焼き鳥を販売している事もある。また、近年では居酒屋のメニューとしても一般的である。多くの場合、鶏肉を含めた鳥類を前述のように串刺しに調理したものを「焼き鳥」と言うが、同様の調理法で鶏肉以外の素材を焼いたいわゆる「串焼き」全般を「焼き鳥」と呼ぶ場合もある。具体的には、豚肉や豚・牛のもつなどを素材として同様に串に刺して調理したもの、野菜の串焼き(ネギ、タマネギ、ニンニク、椎茸、銀杏など)あるいは野菜を豚肉やベーコンで巻いた串焼き料理を焼き鳥のメニューとして提供するなどがその例であるが、使用する材料には地域差が大きい(後述)。豚(特に豚の内臓肉)の串焼きについては「やきとん」と称するところもある。また、もつを使用したものはホルモン焼きと呼ぶ事もある。鶏肉を使用する場合でも、様々な部位(正肉以外の内臓肉も)を用いたものもある。
日本各地における消費は、青森県と徳島県が多く、次いで関東地方と甲信越地方となっている。
職人の間では「串打ち三年、焼き一生」と言われており、串に刺す鶏肉が均一に焼けるように刺す技術以上に、焼き上げる技術が大切とされる。焼き上げの手間を省くための自動串焼き機も存在する。
歴史
平安時代の『類聚雑要抄』には、餐宴の料理として「鳥焼物」が記載されている。
中世の『包丁聞書』には、「鶉のやき鳥には、両羽を切り広げ、其上に檜葉を置盛也、是を葉改敷といふ也」と記述されている。
1643年の料理本『料理物語』に鳥料理があり、その中に焼き鳥の文字が見える。山鳥(やまどり)、鸞(ばん)、鴫(しぎ)などであり…